2024.8.30 Desert King、Mei Li Ya初収穫
気が付いたら8月が終わろうとしていました。
この夏は忙しく、ついに当園がカミキリ君に見つかって処理に追われたり、カラス君に実を持っていかれたりと慌ただしく過ごしていました。
ツバメちゃんたちは元気に育ち、ご近所の仲間たちと高高度の飛行訓練をしています。
もうすぐお別れです。
今季はDesert KingとMei Li Yaを初収穫しました。
後ほどいちじく紹介ページを更新します。
どちらも頬が落ちそうなほど美味しく、特に完熟したMei Li Yaはジュレのような食感で、思わず笑顔になってしまうほどでした。
最近は晩生夏果と早生秋果の収穫が重なっており、日々のおやつタイムを楽しみにしています。
※写真と説明について※
果肉や果皮の色は栽培地、気候、木の充実具合等によって変化し、常に一定の果実が収穫できるわけではありません。
2024.6.20 FMV
仕事場にツバメさんが来てくれました。
ツバメは暖かい場所を好み、季節によって住む場所を変える渡り鳥で、東南アジア、オーストラリアなどから海を越えてやってきます。
その距離は少なくとも約2,000km、長ければ約5,000kmに達する個体もいるそうです。
皆に癒しをくれるツバメさん達。元気に育って欲しいものです。
さて、いちじくモザイク病(Fig mosaic Virus/FMV)についてのリポートです。
当農場でSchar Amber/シャーアンバーのFMV発症がありました。
有名な愛好家の方からいただいた個体で、二年目までは何の兆候もなく綺麗な葉を広げていました。
ところが三年目。
春の一枚目から捻れ、変形、色の濃淡とFMVの特徴が現れ始めました。
FMVが現れた個体からは離していました。
原因は不明。
知識として「すべてのいちじくにFMV発症の可能性がある」と知ってはいました。
実体験の浅さから「国内品種と国内に根付いて長い品種、当初FMVが見られない個体=陰性、輸入品種=ほぼ陽性」と漠然と考えていたのです。
まさか途中で発症するなんて想定外でした。
幸いなことに、通常通りのお手入れをしていると症状は改善していきました。
成長スピードや実の外観には問題なし。葉がちょっと変形していたり、僅かに凸凹していたりするだけ。
美味しい実をたっぷりつけてくれて、いつも誰かに幸せのお裾分けをしていました。
四年目の今年も、ある程度綺麗な葉が揃ったところで変形、変色が出ました。
それでも元気に成長し、隣の桝井ドーフィンに追いつけ追い越せとばかりに背を伸ばしています。
見目は良いに越したことはありません。しかし、発症したところで多収で美味しければ問題ないなと気持ちの整理がつきました。
この経験から学べたことは以下の通りです。
いちじくは国内外問わず、"育成中のすべての個体にFMVが現れる可能性がある"。
当初は発症していなくても、育成途中での発症もあり得る。
ちなみに、海外にはウイルスフリーの苗がありますが、輸入には莫大な労力、時間、費用が掛かります。
我々はポッと出の日本人、しかも非対面。
まずはオーナーの信頼を得て口説き落とす必要があります。
2024.5.20 1年越しの挿し木苗
皆様のお庭に「生きてるはずなのに根が出ない挿木苗」はありませんか?一年後、その苗は活着するかもしれません。
極度の高温に襲われた2023年。
年始めに挿し、酷暑が過ぎ、ようやく秋が来ても、うんともすんとも言わない苗が大量発生しました。
穂木は生きていました。今まではニヶ月ほど経てば成否が分かったのに、何故か発根しないで生きている。
理由も分からぬまま水をやり続けました。
冬近くになって、ようやく一つ発根。
そして、挿し木してから一年経った先日、他二つの苗が芽吹いているのを確認しました。
小さな葉が開いていましたが、根を伸ばしてもらうために摘み、新枝のみの状態にしています。恐らく活着してくれるでしょう。
この経験から学べたことは以下の通りです。
1)環境が適応すれば、いちじくは挿し木状態で一年以上生きられる。
2)一年越しでも活着の可能性がある。
近年の異常気象はニューノーマルになると言われていますので、これからは一年越しの苗が増えていく可能性があります。
穂木を触ってみて、表皮の下に水分を感じたら、諦めないでください。
ところで、この蝶々さんは車内で蛹になった個体です。
収穫した青菜の中にこの子がいまして、畑に戻そうと車に積んでいたらまさかの脱走。
やっと見つけたと思ったらテコでも動きやしない。そんなに居心地が良いならと同乗生活を始めることとなりました。
蛹の上下の染みは幼虫時にへばりついていた跡ですね。
翌日にはぐっと縮んで、二日後には蛹になっていました。
車内温度や振動によるダメージを心配していましたが、無事に羽化できたようです。
花の上で休んだ後、生まれ故郷の畑へ飛んでいきました。十日間の貴重な経験でした。
小さな命に幸せが訪れますように。
2024.4.3 新苗出品開始
短い春が来ました。
この美しい季節がもっと続いて、春春秋冬の三季であればより嬉しいのですが、神様何とかなりませんか。
今年挿し木した苗の出品を開始しました。
他の種類も随時出品予定ですので、よろしければフリマサイトやタグのフォローをお願い致します。
Yahoo!フリマ(旧PayPayフリマ)
メルカリ
2024.1.21 ストライプ系は全部同じに見える
Panache Tiger(ゼブラスイート)
Bordissot Blanca Rimada
Coll Dama Variegato
これらはどれもストライプ柄の実を持ち、外見からの品種判断が難しい品種です。
実際、海外ではシノニムとして扱っているサイトもありますが、地中海の農場では、以下の理由により別品種という扱いをしています。
理由 1、収穫時期の違い
Panache Tiger
↓
Bordissot Blanca Rimada
↓
Coll Dama Variegatoの順で結実するため。
理由 2、味の違い
Panache Tigerはベリー風味が強い。
他二種は甘過ぎないスイート(シュガー)フレーバー。
つまり、Panache Tiger……早生、強いベリー風味
Bordissot Blanca Rimada ……中生、スイート
Coll Dama Variegato……中晩生、スイート
となります。
いずれも美味しく多収の品種です。迷ったら味と収穫時期の違いで選ばれてみてはいかがでしょうか。
2023.1.15 いちじく輸入業者に向く性格とは?
地中海から穂木が届きました。
上手くいけば春には新品種をいくつかご紹介できるでしょう。
去年は極度の天候不順と蒸し暑さで穂木の半分を破棄しました。
今年は元気に成長してくれますように。
さて、本日はいちじくの個人輸入について書き留めておきます。
穂木は新鮮であれば新鮮である程、活着率が高まります。当然、国内から発送される穂木のほうが活着しやすいのですが、それでも海外から輸入したい人達がいます。
ナーサリーから直送して品種間違いを防ぎたい人や、日本では流通の少ない品種を育ててみたい私のような人々です。
しかし、海外とのやりとりはリスクが伴います。
植物検疫代金を支払ったのに未検疫だったり、書類に不備があって植物検疫所に没収されたりなんていうのはよく聞く話です。
「We are unable to obtain a phytosanitary certificate, but that is no problem. They are always shipped as dried branches or drumsticks.」
なんて悪魔の囁きはどこからでも聞こえてきます。
海外輸入に向いている人は、採算度外視で失敗を糧にできるタイプの人です。
様々な検疫をクリアでき、且つ正規輸入をしてくれる業者を探す時間と労力。
トラブルがあった時の保証交渉は英語。
輸入穂木は活着しにくい。
記録的円安の時にうっかり根腐れさせて気分も右肩下がり。
冬場にも関わらず穂木が発酵していた。(暖房に当たった?)
話題には事欠きません。
単に苗を作って販売したいなら、多少割高だろうが、国内の信頼できる販売者から二年生以上の苗を購入することをお勧めします。
それでも自分でやりたい?素晴らしい!伊予の地から応援しています。
散々デメリットを書きましたが、私にとってこの仕事は天職です。
何せいちじくは美味しいですし(ここが一番大事)、四季の折々につけて自然と共生していることを肌で感じられる素晴らしさは農業に携わる者の特権です。
酷暑でへとへとになった身体に完熟いちじくを放り込んだ時の喜びときたら、最高という言葉では足りません。
また、お譲りした方から感謝の言葉をいただいたり、苗の近況をお知らせいただいたりすると、顔の見えないお取引でも心が温かくなりますね。
モチベーションは大事です。
これからいちじく輸入を検討している方へひとつアドバイスを送るとしたら、参考書ページの上二冊を読んでから始めると良いでしょう。
それでは、楽しいいちじくライフをお過ごしください。
2024.1.3 サイト公開
サイトを公開しました。
これまでガーデン春告鳥からご購入いただいた皆様、そして実務で支えて下さった関係諸氏に感謝申し上げます。
農業という未知の分野では助けていただくことが多く、日々ご縁の大切さを感じております。
皆様に喜んでいただけるよう一層邁進してまいりますので、これからもご指導ご鞭撻くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
これから穂木の輸入シーズンです。
良い穂木を仕入れ、良い苗にできるよう努めてまいります。